今回はSAXのエリック・マ●エンサル。
チック・●リアのエレクトリックバンドのメンバーでもある、超絶プレイヤーです。
彼だけならまだしも。
去年来日したギタリストのケン・ナバ■がまたも来日公演を行うと。彼はグラミー賞にも作品がノミネートされる、スムースジャズの大御所。
その2人が、2日連続でそれぞれのリーダーライブを行うというのです。そうです、ラオウとカイオウが同時に襲来する事態なのです。エリックは日本ツアー中でしたが、ほとんどは地元ビッグバンドとの共演。バンド編成で彼のオリジナルばかり演奏するライブは今回くらいです。
さて、そんな2人がそれぞれ1日ずつメインを努めるということで、曲目が2日とも変わります。
その総数26曲。ある日、音源と譜面が大量に届くのです。譜面があるとは言え、大まかなチャート譜のみ。キーボードのフレーズや音色などは書いておらず、自力で採譜しなければなりません。
曲によって音色も様々なので、逐一エディットしなければなりません。膨大な時間がかかります。正直、他のパートより手間がかかります。他の人にはなかなか分かってもらえない苦労です。
そのライブの準備だけに集中できればいいのですが、学校があり、他のライブもあり、リハもあり。準備の時間が取れず、ライブ数日前になって追い込まれる事になります。
そこで元運送屋のスキル、早起き!
連日朝6時に起きて準備。当日は3時就寝の5時起床で、何とか間に合わせました。
フラフラですが午前中は仕事。学校での90分授業を2コマ。その後、昼飯も食べずに移動。到着するやいなや鬼の当日リハーサル。過酷です。ライブは基本的にCDを忠実に再現するコンセプト。忠実に再現するのは結局キーボードの仕事。プレッシャー!
そんなこんなで、ライブに至るまでの苦労ばかり切々と書いてしまいました。
が、ライブが始まってしまえば、そんなモノは吹っ飛びます。ラオウ、カイオウ。どちらも世界トップクラスの音を奏でます。僕ももちろん、全力で楽しまなければ損なので遠慮なく全力で演奏。エリックと僕のソロバトルや、連続16小節にわたる激ムズなユニゾンも。
ちなみにこの激ムズユニゾン曲、譜面がなかったのです。譜面無しでこの曲を弾けだなんて無茶な話ですが、まぁ弾くしかないです。iPhoneで曲の再生速度を50%にして、何度も聞いて取りました。
それが、直前になり「この曲はややこしいからボツにしようか」という話になったのです。
僕は思わず拙い英語で言いました。
「I want Play this song! I have no chart. I listen&wrote&practice!!」
意味があってるのか判りませんが通じたようで、意地でセットリストに入れてもらったのでした。なんか、だんだんコミュニケーション力がついてきてます。話している事も少しは分かってきます。慣れとは恐ろしいですね。
さてライブの途中で、エリックが吹いたフレーズを僕がスキャットでなぞるという謎のコーナーで笑いもあったり。途方もない苦労とプレッシャーも過去のもの。終わってみれば楽しい2日間でした。
ケンに「マナブ、君はとても耳が良いね」と誉められたのも自信になりました。
さて、打ち上げはしゃぶしゃぶです。
エリックはしゃぶしゃぶが大好きで、リハーサル中から「Let's Shabu-Shabu!!」と叫んでました。

世界広しといえども、ケンやエリックと共演した上、しゃぶしゃぶを共にしたキーボーディストは僕くらいでしょう。僕のプロフィールに「主なしゃぶしゃぶ共演歴:エリック・マリエ●サル、ケン・ナバ■、ボブ・ジェー●ス」と追加される日も近い。